ライターを目指す、と言っても、その最初のとっかかりが分からない人が凄く多いと思う。そこで今回は、書籍「これだけは知っておきたい ネットワークの常識」、そして、雑誌「Software Design (ソフトウェア デザイン) 2010年 07月号
」の第三特集「iPadとKindleに見る 電子書籍の未来」の記事などを書かれている坪井義浩さんにお話を伺った。
坪井さん、ライターデビューのきっかけ
坪井さんが、さもライターであるかの様に書いたが、坪井さんの本業はソフトウェアの受託開発を行う会社の社長さん! 具体的にはレジとか、ECサイトのクレジット決済のシステム構築であったりとか、他にもiPhone、iPad用のアプリの開発など手掛けている。
そんな坪井さんが、どうして本の執筆をされるようになったか・・・。きっかけは、とある出版社から、まず最初に、システム管理のことを中心に書かれている有名サイトを運営されている知人に執筆の依頼があり、その方から共同執筆という形で依頼を受けたこと。そこで坪井さんは、実際に文章を書く側と監修側とどちらが良いか、と聞かれ、監修側を選択した。
さっそく坪井さんは、目次と目次を説明するリードを書き、それを上記の知人に提出、知人が編集者と相談し、編集者が出版会議に提出、という流れに。そこで、その内容で初版部数がさばけそうかが検討され、無事出版の運びとなった。出版会議では、本の内容と目標出版部数、ページ数、販売価格が検討され、出版するか否かが決定される。ちなみに、本は製本の都合上、8の倍数でページ数が決まることが多いそうだ。
印税の仕組み
印税であるが、まず初版分は買い取り。敢えて坪井さんと違う条件を例として書いておくが、例えば、初版で5000部刷って、著者の取り分が5%であったとするならば、その金額は初版分が全て売れようが売れまいが、著者の手元に5000部×5%のお金が入ってくる。それに重版がかかると、そこから著者の取り分が少し上がるケースが多く(例えば8%とか)、後は重版の部数に応じて、支払われる。
出版社とのやりとり
坪井さんの場合、今回の原稿は「WZエディタ」形式を使って書いている。Macユーザーである坪井さんだが、WZエディタのアウトライン機能を越える機能がMacのソフトで見つけられなかったので、この形式を使ったとのこと。この様な形で原稿を書き、図表の個所には絵1などと指定し、番号分のラフスケッチを添付する。それを元に編集者がアドビのInDesignで組版し(図表などは清書される)、PDF化されたものが坪井さんの手元に返ってくる。そのPDFファイルに注釈機能を使って、赤を入れたり、太字指定などを入れ、編集者に戻す。そうった工程が5回ほど繰り返され、完成に至る。
最後に出版社との契約であるが、とにかく念を押されたのが、技術的な間違いがないこと、無断複写のないこと、だったそうだ。
そして雑誌記事執筆へ
本の執筆にあたって、3ヶ月ほどが望ましいところを、6ヶ月ほど時間が掛かってしまい、編集者の心証を悪くしたかな、と思っていた坪井さんだったが、専門知識が買われ、先に挙げた「Software Design (ソフトウェア デザイン) 2010年 07月号」の特集記事を書く依頼が来た。坪井さんはライティングにも興味があるので、これからも依頼があれば書きたい、とのことだった。
坪井流、ライターとしての心がけ
やはり、特定の分野にホットな話題を持っている人が編集者の目に止まるらしい。出版社の人は、ネットで次の書き手を常に探している。今回の坪井さんのケースも書籍の場合、直接の依頼ではなかったが、特定分野に精通しているおかげで、編集者にこの分野ならあの人に、と覚えられ、次の雑誌記事依頼に繋がっている。
現在坪井さんが実行しているのは、NGを先に聞く、ということだ。雑誌のカラーもあるだろうが、スポンサーとの絡みで書けない意外なこともあるかもしれない。
また、読みやすい平易な文章を目指している、とのこと。具体的にはセンテンスを短くする。読者にこの関係代名詞は、一体どこに掛かっているのだろうか?と文章を読み返させることなく、簡潔、平易な文章で、すっと読ませる、ということを意識する。長い文章を読者に読ませるにはとても重要な心がけだ。
最後に坪井さんからのアドバイスとして、企画力と日本語力、というキーワードを挙げてもらった。日本語力については、やはりブログで記事を残していると編集者の目に止まりやすく、それが、個人のブログではなく、有名ブログへの投稿記事であったりするとなお良い、とのことだった。
坪井さんのお話を聞いて
ありきたりな感想ではあるが、やはり専門知識というのは強いなぁ、と実感した。そして、自分の日本語力をすぐに確認してもらえるメディアを持つこと。やはり、ライター、編集者を目指す人間であれば、個人のブログでも良いから、自分の文章力を確認してもらえるものがあったほうがよい。これは今日、明日にでも始められることだ。
そして、個人的にIT系に興味があるんだったら「ギズモード・ジャパン」などでたまにライターの募集が掛かってるので応募してみたらどうですか?とのアドバイスをもらった。こういうサイトで記事が採用されれば、ギズモード・ジャパンの編集者とも繋がりが出来るのはもちろん、自分の過去の実績として使うことも出来る。これは私に限らず、どの分野においても有効な方法ではないだろうか? 雑誌の記事を書くよりは、まだウェブの方が採用されやすいだろうし、編集者も確認しやすい。
そして、これは坪井さん自身もおっしゃっていたが、ライターだけで生活するのは大変そうだ、ということ。恐らく専業のライターというのは減っていくのであろう。それゆえ、ウェブでパートタイムで記事を書く、というのは十分検討に値する選択肢だと思う。
若干、駆け足であったが、ライターになる方法の具体的な一例を紹介出来たと思う。そして、うっかりモノの私のキンドルを預って下さったばかりか、ライターになるきっかけをお話下さり、またブログに掲載することを許可してくださった坪井さんに改めて感謝!
オマケ:私、ボーノと坪井さんが知り合ったきっかけ
去年の話になるが、私が米光一成さんの「こどものもうそうblog | Kindleワークショップ『電子書籍の衝撃・キンドルで青空を』」を見て、面白そうだなぁ、と当ワークショップに出向いたところ、そこで「日本語フォント導入はっく」の解説をなさっていたのが坪井さんだった。
坪井さんのブログ記事:Kindle Software Update Version 2.3に対応したUnicode Font Hack – yoshi’s blog
その後、私もキンドルを購入し(なんとワークショップの時には持っていなかった!)、早速「日本語フォント導入はっく」を入れ、青空文庫などを読んでキンドルライフを満喫していた。しかし、キンドル自体のソフトをアップデートする際に、「日本語フォント導入はっく」を一度アンインストールする必要がある。そこで再び坪井さんのところのブログ記事を参照するのだが、私の理解力、読解力が足りず、とにかく、二度、三度と「はっく」アンインストール→キンドルアップデート→「はっく」再びインストール、の手順で失敗しかけ、twitter上などで何度か坪井さんご本人の指示を仰ぎながら、事無きを得てきた。
しかし、つい最近、最新のキンドルソフトウェアにアップデートしようと、「はっく」をアンインストールしようとした時に、間違ったアンインストーラーを入れてしまい、ついに起動不能に。そこでtwitter上で「なんとかなりませんかねー」と坪井さんに甘えてみたところ、なんと「お預かりしますので、お茶でもしましょう」と誘って頂いた。そして昨日一緒に「電書フリマ」を見に行くお約束をしたついでに、キンドルをお預けしつつ、今回のお話を伺ったのだった。うーん、こうして振り返ってみると、全くギブ・アンド・テイクの関係じゃないなぁ。何かで恩返ししないと。
坪井義浩さんのブログ:yoshi’s blog
坪井さんが関わった著書
上記リンクを通して売れれば、私も坪井さんもハッピーに(笑)